2006年06月01日

「沈まぬ太陽」映画化に思う。

喜びと不安が入り混じった気持ちでこのニュースを。

「沈まぬ太陽」映画化…ホリエモン愛読で再び脚光

作家の山崎豊子さん(81)のベストセラー小説「沈まぬ太陽」が、角川ヘラルド映画製作によって映画化されることが30日、分かった。同社が都内のホテルでこの日行った新作ラインアップ発表会で明らかにしたもの。2008年夏の公開を目指しており、実現すれば山崎作品としては1976年の「不毛地帯」(山本薩夫監督)以来になる。

「沈まぬ太陽」はライブドア前社長の堀江貴文被告(33)が、拘置所内で愛読していたことで再び話題になった。大ベストセラーの映画化を、角川ヘラルドが決断した。この日のラインアップ発表会では、監督やキャストなど詳細は明かされなかったものの、主演には日本映画界を代表する大物俳優の名前も取りざたされている。

同作は、将来を嘱望された大手航空会社のエリート社員が、組合活動を理由に中東からアフリカと外地勤務を転々とさせられながら、会社の腐敗を追及していく社会派小説。日本航空の実在の人物がモデルになったとも言われ、1994年の連載開始時から話題を呼んでいた。99年に単行本が発売されるとすぐに大ヒット。文庫本と合わせると、これまで250万部を超える大ベストセラーに。

全5巻というボリュームの原作の中から、映画では史上最悪の航空機事故となった85年の日航機御巣鷹山墜落事故をモデルにした「御巣鷹編」を中心に描く予定。来春にはクランクインし、08年夏の全国公開を目指す。

山崎小説は壮大なスケールで描かれた作品が多く、上川隆也(41)の主演で中国残留孤児を描いた「大地の子」(95年・NHK)、大学医学部の教授の座を巡る権力闘争をあぶり出した唐沢寿明(42)主演のフジテレビ系「白い巨塔」(03年)など、最近は連続ドラマでの映像化がほとんど。「沈まぬ太陽」も00年に大映の徳間康快社長(故人)が、東映と共同製作で映画化構想をぶち上げたものの、実現には至らなかった。角川版「沈まぬ太陽」が実現すれば、76年の「不毛地帯」以来、久しぶりの映画化になる。(スポーツ報知)

ホリエモン愛読で再び脚光というのがいかにもスポーツ新聞の報道らしくていやらしいですね。たまたま時期が重なっただけなのか、今がチャンス!と発表したのか、意図的に重ねたのか、こればっかりは謎です。他社でのニュースソースが見当たらなかったのが残念です。

引っかかったのは「日本航空の実在の人物がモデルになったとも言われ」のところ。「と言われ」ではなく、モデルになったのです。記事を書いた記者は原作を読んでないんでしょうか。もしそうなら、後書きやその他の文献などにも、少しでいいので目を通してみてほしいものです。作者の山崎豊子氏が、モデルになった小倉寛太郎氏との初対面の経緯から作品を書き上げるまでの話などいろいろ書かれていますので。記者なんだからそれくらいの確認しないとね。

私が原作を読み終わった後、この作品はぜひとも映像化してほしいと思ったので、それが実現するのは嬉しく思います。しかし映像化するとしたら、映画は無理だとも思いました。とても2時間に収まる内容ではないからです。「大地の子」や「白い巨塔」と同じく、20回くらいのドラマにしなければ、ちゃんと表現できないだろう、と。

例えば「白い巨塔」田宮二郎版には、ドラマの前に映画があったのですが、一審の判決が出るシーンまでしかなかった(連載当時、一旦そこで終わっていたため)のに相当急ぎ足で、作品の主題が表現しきれてないように感じました。山崎作品は広くて深いので2時間じゃ難しいですねぇ。

「沈まぬ太陽」ですが、先日のエントリー「航空史の分岐点・日航機墜落事故」で、National Geographic Channelで御巣鷹山の事故の特番があると書きました。放送を見たところ、1時間弱の番組ですが、事故の再現だけで時間いっぱいいっぱい、それでも足りないくらいでした。ですから、その前後の人間ドラマが描けるのか、読者として気がかりです。やはり好きな本が映画でコケるなんて悲しいですからね(宮部みゆきの「模倣犯」の映画は酷かった)。

映画は御巣鷹山の事故をメインテーマにするようですが、先日のエントリー「沈まぬ太陽の魂も沈まない」でも書きましたが、御巣鷹は「沈まぬ太陽」の大きな場面ではありますが、全てではないんですよね。大企業という巨象に一個人がどう立ち向かうのか、それがメインテーマですから。

ところで連載当時、「小倉氏は御巣鷹には行ってない!」とお怒りになる方もいらっしゃったようです。主人公の恩地元(おんちはじめ)には小倉氏だけでなく、日航の何人かの方の姿が投影されているので、小倉氏は御巣鷹の事故現場とは直接関係なかったそうです。

ですから、本来の作品テーマである「小倉氏の生き様」から少し距離のある「御巣鷹山事故」がメインテーマになるというのは、私の解釈ではちょっと疑問符が付きます。原作で言うところの「アフリカ編」や「会長室編」には触れないのでしょうか。だとしたらあまりにもったいないなぁ。

御巣鷹山事故に限って言えば、飯塚訓著「墜落遺体」「墜落現場 遺された人たち」の方がより詳しいです。

いったいどういう風に描かれるのでしょうか。私の不安が大ハズレするような映画になることを願います。
jal.jpg

空の安全を祈って・・・。



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posted by チョロQ at 20:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本映画の大作的な安っぽく演技過剰で最悪な御涙頂戴映画にならなければいいのですが、、、。
ミスチルの甲高い女性的な唄も使って欲しく無いのです。
Posted by だんきち at 2008年12月09日 15:43
>だんきちさん
2年も前から映画化って言ってたんですね。
映画じゃ無理だと思います。
ミスチルは・・・酷いですね、私は貝になりたい。
あれを聴きたくないがために映画を観てません。
Posted by チョロQ at 2008年12月10日 21:09
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